通常総会レポート  
4月中旬から5月中旬にかけて、東海支部、各地域会において2005年度通常総会が開催された。  積年にわたって議論を重ねてきた建築家資格制度がスタートした一方で、年会費の半額改訂に伴い、会員増強は必須課題となった。東海支部で200人の会員増強を行わなければ、2006年度の予算が組めない危機的状況に置かれている。内部の体制を整備する一方、外に開かれたJIA活動を展開していくためには、会員一人ひとりの意識と行動が求められている。
静岡地域会
ゴールデンウィーク直前の4月27日(水)、静岡市葵区御幸町にあるB-Nest静岡市産学交流センターにて、本田伸太郎JIA東海支部長をはじめ、多くの来賓の方々をお招きし、総会が開催された。  はじめに、先程亡くなられた丹下健三氏への黙祷が捧げられた後、議案審議が行われた。議案は、2004年度事業及び決算、2005年度事業計画及び予算、地域会費の改正の3点であり、結果それぞれ承認された。なかでも特に地域会費の改正は、2003年度総会にて地域会費1万円を徴収することを決議し、執行を2年間猶予してきたものを、会員一律年間3万円と改正するものであった。  JIA2004年度総会にて、会員・会費種別の改定が決定され、地域会交付金まで会費がまわらなくなってしまった。地域会費は、JIA創立より16年間続いた地域会活動を継続していくための、ぎりぎりの選択として提案されたもので、昨年一年間は、JIAとしての本来の活動よりも、「地域会を存続していくためにはどうしたらよいか」ということに終始した一年でもあった。  総会終了後、JIA前副会長でもある芦原太朗氏をお招きし、「今、建築家として取り組むこと」と題した記念講演会が開催された。前半では、JIAでの新しい建築家憲章、2011年UIA大会東京誘致活動ついて、また後半では、白石市立第二小学校プロジェクト・公立刈田綜合病院がつくられていく過程や現状など、限りなく続く氏の絶妙なトークで、あっという間に2時間が過ぎた。  その後、近くのホテルに会場を替え、多くの来賓の方々にお越しいただいた懇親会により総会の一日が終了した。 (村松謙一/JIA静岡広報委員長)
愛知地域会
愛知地域会2005年度通常総会は、5月13日(金)14時よりアパホテル名古屋錦において多数の会員の出席のもとに開催された。  審議に先立ち、尾関利勝会長より一年間の活動を振り返って、会員、賛助会会員の協力により愛知地域会では、全国その他の地域会より活発な活動が展開されており、会員も増加傾向にあるとのあいさつがあり、続いて、出席者40名、委任状103通により定足数が満たされており総会の成立が確認された。  議長等選出の後、議事に入り、最初に2004年度事業報告と収支決算が説明された。会勢をはじめ登録建築家の登録状況や委員会、研究会等の活動状況が示され、財政が厳しい中でも計画された事業が実施され、収支上も支障がなかったとの報告であった。監査報告では、決算書等が妥当であった旨の報告に加えて、今後の活動に考慮すべき貴重な監査意見が報告され、拍手多数により承認された。  続いて、2005年度事業計画案として登録建築家、CPDの推進や会員増強等の従前からの活動のほか、全国大会のバックアップの意向が示され、予算案においては、今年から地域会運営費が交付されないという厳しい状況の中でも活動助成費用を予算化するという前向きな姿勢が説明され、一括審議の上承認された。  最後に地域会規定、役員選出規約の一部改定が審議され、議案趣旨の確認や改訂条文の字句が不正確等の質疑が出され、趣旨説明の追加と条文の修正の上承認され、総会は閉会し2005年度の地域会活動がスタートした。 (鈴木慶智/JIA愛知ブリテン委員長)
岐阜地域会
岐阜地域会2005年度通常総会は、4月21日(木)、グランベール岐山において開催された。宇佐美晃三幹事長の司会のもと、加藤幸治会長のあいさつに続き本田伸太郎東海支部長のあいさつがあり、その後、議案に入った。  2004年度の事業報告を加藤会長から、2004年度の収支決算報告を宮川裕志会計から説明があり、その後、審議を諮り全員一致で承認された。続いて、2005年度の事業計画と2005年度の収支予算が説明された。  事業計画では、今年度はJIA建築家大会2005東海が、9月に岐阜を中心として開催されるため、大会に向けての準備に重点を置く内容が加藤会長から報告された。収支予算では、地域会交付金ゼロに対する措置として地域会年会費を増強する旨が宮川会計から説明された。いずれも審議を諮り、拍手により承認された。  総会後、宮野秋彦名古屋工業大学名誉教授を講師に迎え、「文化財の保存展示環境について」と題した講演会が開催された。室内の過乾燥現象を防ぐための天然素材を用いた調湿建材の特性に関する研究をなされており、実際には、中尊寺金色堂覆堂など重要な文化財の保存に適した調湿建材を用いて成果をあげられている。  21世紀は「環境」を抜きには語ることができず、氏の「この研究は、文化財だけでなく人間の健康をも守るものである」という明確な説明を聞くにあたり、自然環境との繋がりを改めて考えさせられる講演会であった。 (山田貴明/JIA岐阜広報委員長)
三重地域会
三重地域会2005年度通常総会は、4月15日(金)昨年同様、賛助会のINAX高橋真一氏のお世話で、INAXトステムグループの展示会の見学を兼ねて、ポートメッセ名古屋の会議室で開催された。  総会に先立ち森本昭博三重地域会長と臨席された本田伸太郎東海支部長のあいさつがあったが、この中で本田支部長からは、JIA本部の厳しい運営の実態と、結果、支部や地域会に大きな影響を与えることは必死であるとの説明があった。  総会出席者は会員36名中12名で、委任状により成立したものの、例年になく少数での会議となった。議事は、2004年度事業報告・収支決算報告とスムーズに進行した。引続き、地域会費の徴収の件についての審議に入り、役員会・例会・アンケートなどでは「やむなし」の声であるとの事務局からの報告があり、とりあえず本年に限り15,000円の徴収が承認された。2005年度の事業計画については、例年の事業が承認された他、昨年行った建築展を継承するため、県内各地での巡回建築展を行うことが承認された。  会議終了後は展示会を見学し、午後は名古屋大学キャンパスを愛知地域会の谷口元名古屋大学教授の案内で見学した。野依記念学術交流館では、宿泊施設の細部まで見せていただき、また野依記念物質科学研究館では、セミナー開催中の野依博士の姿を偶然にも拝見することができた。さらに環境総合館では、地震防災に関する取組みなどを紹介していただいた。その後、津に戻り、賛助会員を含めて懇親会が開かれた。 (滝井利彰/JIA三重地域会)
東海支部
東海支部2005年度通常総会は、愛知地域会総会後、同日16時からAPAホテル名古屋錦で開催された。出席者は53名、委任状出席者は175名で合計228名、東海支部会員454名の5分の1(91名)の定足数を満たし、総会は成立した。  小田義彦支部幹事長の司会進行で本部より来賓の橋本修英副会長が紹介された後、本田伸太郎支部長があいさつに立った。本田支部長はこの1年間を振り返り、前半は、超低価格入札問題が起きたこと、後半は、会費改正よる財政の縮小に伴う問題に対して地域会単位で自立して考えていく必要がある旨を述べられた。  議長は司会者に一任され鈴木武氏が選出され、第1号議案の2004年度事業報告承認の件は本田支部長から、第2号議案2004年度収支決算承認の件は田中英彦財務担当幹事から報告がされ、あわせてその監査報告が藤井孝一氏から行われ一括審議された。  第1号議案では、会員増強については支部で100名をめざしたが純増で12名にとどまったこと。建築家資格制度登録建築家に認定された会員がほぼ半数に達し全国平均の42.8%を上回っていること。設計競技では支部財政に貢献できたが、今後も収益をあげる事業をしていきたいこと。岐阜で開催される予定の「建築家大会2005東海」は大会委員会、大会実行委員会が組織され具体的な内容の検討に入っていること。財政については事業積立金が少々減ったが500万円の積立金を残し次年度以降にそなえる旨などが述べられた。第2号議案では繰越収支差額が予算より大幅に減少し支部の財務運営が厳しい旨の監査評価がなされた。  続いて質疑に入ったが、資格運営費に関して複数の会員から意見が出された。この運営費は当初別会計を立てると決められたが、ここで支部決算書に組み込まれるのはおかしい、別会計としガラス張りの会計をすべきという意見である。それに対して小田幹事長から支部会計の中でやりくりすることに決めた旨説明があったが、さらにその決定が会員には伝えられていないとのこと。橋本修英副会長からも意見が述べられたが、この件に関しては、本部は別会計、支部ではそれぞれの裁量に任しているとのことであった。結局、鈴木議長から改めて役員会で検討し別会計にすることで議論を終え、ともに反対者、保留者なく賛成多数で議決承認された。  続いて、2005年度事業、予算の第3号議案、第4号議案に移行した。2005年度事業計画に関して、本田支部長から景気も上向きで追い風になり会員増強に全力をあげて取り組んでいくこと、また9月の全国大会にはたくさんの会員が参加されるよう要請があった。  2005年度収支予算案に関しては、第2号議案の議論でもあったように、資格運営費を別会計にすることとなった。ここでもこの件に関して様々な意見が出されたが、このなかで厳しい財政事情を補填するため各地域会で地域会費を徴収することに決めたとのこと。静岡、岐阜が3万円、三重では1万5千円、愛知では今までどおり協力会費として徴収する。この事態に対し、地域格差が出ることで会員増強が難しくなるという危惧の意見が出された。  そして締めくくりの意見として、総会の場でこのような議論がされても初めて聞く会員には理解しにくいので、このような問題が出ないように事前に支部役員会でしっかり議論してほしい、と要請された。  最後に採決が行われ、賛成多数で承認を得、議長から条件付きですべての議案の承認を得た旨の総会終了が宣言された。 (才本清継/JIA愛知ブリテン副委員長)