年頭にあたって
2007年 JIAの再生と飛躍
東海支部長・理事  谷村 茂
 新年明けましておめでとうございます。
 本年が、会員の皆さまにとって幸多き年になることを御祈念申し上げますとともに、日頃のJIA活動へのご協力とご支援に厚く御礼申し上げます。
 昨年は、仙田満体制が立ち上がって以来、「建築士法改正」一色で秋の臨時国会での審議を目標に執行部は突き進んだ感がありました。この挨拶文を記している時点(11月29日)では、ちょうど衆議院の国土交通委員会に法案が提出され、全会一致で可決されています。この委員会に参考人として仙田会長も呼ばれ、質問を受けていますが、委員会は、「建築士法等の一部を改正する法律案に対する付帯決議」をして簡単に通過しています。しかし、閣議決定され、提出された内容は、JIAが目指している理想からはかけ離れていることも事実です。
 問題点としていくつか挙げられますが、統括者としての建築設計者の位置づけが不明確で、建築設計者の独立ということが不明瞭です。また、建築家とエンジニアという形での位置づけは明確になっていません。一級建築士の中だけで「構造設計一級建築士」「設備設計一級建築士」という分け方をしたために、名称も判りにくい上に、実体を伴わない形だけのものとなっています。やはり建築家と技術者ははっきり分けるよう今後も運動を継続せざるを得ないでしょう。
 現在、JIAは組織問題において重大な局面に立たされています。会費値下げに伴う会員増加の目論見が外れたための支部交付金の削減。その削減は、地域会へのしわ寄せとなって、地域会ごとに会員への協力金という形での拠出を求められています。同じ支部の中での地域間格差はフェアな状態とは言えません。仙田会長は会長任期中の会費の改変は行わない、と言明していますが、各支部においては無駄なものは極力切り捨てるなどして対応していますので、後は事業を切り詰めていくしかありません。と同時に、各地域会においても同様な状態で、不足分を各地域会員に協力してもらっているのです。誰もが認めるとおりこの状態は末期的です。
 昨年11月に立ち上がった「将来の組織のありかたWG」では現状を踏まえて、本部・支部の関係、会費のあり方の方向性を出して2008年の通常総会で会員に判断していただくための骨格づくりに着手しました。また、昨年の6月に公布された「公益法人改革関連の法律」によって、5年以内にJIAも公益社団法人か一般社団法人かをチョイスしなければいけません。これらの問題は全てJIA定款にも関わってきます。今年の5月の通常総会で、ある程度の中間報告を行えるように集中して問題点を洗い出していく所存ですが、会員の皆さまの協力がなくては達成できません。
 さて、今年から来年にかけては、組織の大きな変革を伴う基盤づくりとともに、日本建築家協会設立20周年を記念する「建築家大会2007東京」も行われます。東京大会は2011年のUIA世界大会を念頭に置いたプレイベント的な組織構成をして、本番の試金石となるよう計画しています。東海支部も20周年を記念して浜松地区で記念支部大会を計画していますので多くの会員の参加を期待したいと思います。支部大会が開催されるころまでにはJIAの将来像のラフプランも固まっているでしょうから大会で大いに議論したいものです。
 登録建築家も3月には最初の資格更新を迎えます。それにあわせて東京・大阪・名古屋で「登録建築家特別講習会」が開催されます。名古屋では1月20日を予定しています。この講習を受講しますと一級建築士を取得してから30年以上の実務経験がある建築家は特例で更新できます。また、経験年数が足りない方で、単位が不足していると思われる方は、単位数が倍付けとなる特別講座を受講して不足を補っていただきたい。「建築士法改正」が、JIAの描く建築家法とはかなりの隔たりがありそうな今、「JIA登録建築家制度」を消費者により強くアピールして、その価値、役割を認識してもらうことが大切になります。その意味で今後は、これまで以上に業界団体、そしてそれ以外の方々との意見交換が必要になってくるでしょう。登録建築家の制度もいよいよ試行期間を終えて第2ステージに移ります。4月からの社会制度化を目指して、倫理規定、行動規範を整備している途中ですが、専業・兼業の位置づけがまだぼんやりしています。4月までにははっきりさせたいものです。
 今年度は20年の蓄積を元に次のステップへとJIAを導く大切な年となります。前年度の財政再建検討委員会、基本政策会議や提言されてきた様々なノウ・ハウを土台に、ひずみを直し、取り替えるものは取り替えて新生JIAへと導く骨格づくりを行わなければなりません。その間、東海支部の皆さんにはいろいろとご迷惑をおかけするかもしれません。  建築界の健全な発展を導くJIA活動ができるように頑張るつもりですので是非とも皆さまのご協力をよろしくお願いいたします。